情報処理技術者試験(IPA) 高度試験対策概要

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情報処理技術者試験 高度試験(テクノロジ系を除く)対策の記録を記します。このページでは情報処理技術者試験に初めて取り組む人や情報処理技術者試験に久しぶりに取り組む人向けに、試験概要を記します。

テクノロジ系を除く高度試験は試験固有のノウハウがありますので、1科目合格してしまえば他科目は容易に合格できます(例:システムアーキテクトに合格できればプロジェクトマネージャーはそれほど難しくない)。

試験概要

合格率

多くのサイトでは論文の高度試験は高難度と言われていますが、「高難度」と言われても「どの程度対策すれば」「どの程度の確率で合格するか」が分かりません。私個人の体感としては、十分な対策をすれば50%くらいの確率で合格する試験と感じています。学習時間は、実務経験や事前知識に依存するため個人差があるでしょう。どの程度の学習時間が必要かは、参考書や過去問を斜め読みして大凡の工数見積もりをすると良いでしょう。

論文の高度試験に合格するには、午前I, 午前II, 午後I, 午後IIの全ての試験に合格する必要があります。各試験の合格者数は情報処理推進機構(IPA)の「統計情報 得点(評価ランク)分布ページ」で合格発表後約3ヶ月間のみ公表されています。

IPA試験の評価ランク

私が実際に合格した2023年秋プロジェクトマネージャー試験の各試験の合格者数は以下の通りです。

試験 受験者 合格者 合格率
午前I 3,714 人 1,876 人 50.5%
午前II 5,323 人 4807 人 90.3%
午後I 4,685 人 2648 人 56.5%
午後II 2,628 人 1,042 人 39.6%

合格率は毎年ほぼ一定で特に当たり年やハズレ年はないようです。過去問を見る限りでは、午後Iは明らかに難度にバラつきがありますが、おそらく設問が難しい年は採点基準を甘くするなどで合格率の一定化を図っているものと予想されます。

足切り試験の観点

情報処理技術者試験は2021年に5700円から7500円から値上げされました。しかし、私はこの受験業は破格と考えています。なぜ、このような低価格が実現できているのか、運営側の立場で考えてみましょう。

問題作成, 会場レンタル, 採点などのコストを7500円でまかなえるでしょうか。少なくても3000字近い手書き論文を7500円で採点するのは割に合わない仕事です。ですが、実は論文は全ての受験者が採点されるわけではありません。午前I, 午前IIを合格した者のみが午後Iの採点対象になり、午後Iを合格した者のみが午後IIの採点対象になります。ですので、論文を採点してもらえるのは全応募者のうち20%程度です。情報処理推進機構(IPA)は午前I, 午前II, 午後Iという足切り試験をする事によって、低価格を実現しています。

それでは、受験者の立場で考えてみましょう。午前I, 午前II, 午後Iは足切り試験ですので、対策をすればほぼ確実に合格できます。

「確実に合格できる」と言わずに「ほぼ確実に合格できる」との表現に留めているのは、午後Iは多少の運要素が絡みます。十分な対策をしたとしても、運が悪ければ不合格になる事もあります。

実際の合格率

前述の通り、午前I, 午前II, 午後Iの試験は対策をすればほぼ確実に合格できます。また、午後IIは4段階で評価されますが、対策をすれば評価B以上になります。2023年秋試験の評価分布は以下の通りです。

評価ランク 基準 人数
A 合格水準にある 1,042 人
B 合格水準まであと一歩である 761 人
C 内容が不十分である。問題文の趣旨から逸脱している 523 人
D 内容が著しく不十分である。問題文の趣旨から著しく逸脱している 302 人

この評価分布を見ると、対策をすれば上位1,803(1,042 + 761)位には確実に入れます。ですので、ちゃんと対策をした受験者数は1,803人で合格者は1,042人なので、実際の合格率は57.8%です。

このように考えれば、情報処理技術者試験 プロジェクトマネージャーはそれほど難しい試験ではない事が分かります。

各試験の合格率と対策

起床試験 会場到着試験

情報処理技術者試験では、俗に試験に間に合うように起きられるかどうかを「起床試験」と言い、試験会場に到着できるかを「会場到着試験」と言います。2023年秋試験の申込者数と受験者数は以下の通りです。

分布 人数
申込者数 11,745 人
受験者数 7,382 人
合格者数 1,042 人

多くの人が「起床試験」「会場到着試験」で不合格になっている事が分かります。個人的には、午前I, 午前IIよりも「起床試験」「会場到着試験」の方が難しいと思っています。

というのは、情報処理技術者試験は試験4ヶ月前に申し込みをし受験日は固定です。ある程度の責任を持つ役職になったら、4ヶ月後の予定は分からないし試験当日に急な仕事が入る事もあるでしょう。ですので、情報処理技術者試験は「プロジェクトが炎上していない」というのが受験者の前提条件になります。私自身、仕事のため「会場到着試験」に不合格になった事が2回あります。

午前I

テクノロジ, マネジメント, ストラテジの3分野から広く浅く出題される試験です。すべて応用情報技術者試験(午前)過去問から出題される試験なので、過去問の丸暗記でも十分に合格できます。目安としては、午過去3年分(合計6回分)の出題に目を通せば十分でしょう。

合格ラインは60%以上です。情報処理技術者試験は、各試験の合計点ではなく全ての試験で合格ラインを上回る事が合格条件ですので、午前Iを満点合格したからと言って何かのアドバンテージが得られるわけではありません。対策をし過ぎても良い評価が得られるわけでないので、100点ではなく80点くらいを目指すのが良いでしょう。20%くらいの出題は捨てても十分に合格できます。

午前II

各専門分野に関する知識が四択で出題されます。過去10年分の午後IIの過去問に目を通せば、80%程度の出題は網羅できるでしょう。過去問で90点くらいが取れるようになれば十分に合格できます。

午後I

プロジェクトの状況を説明した文章を読んで設問に解答する形式の試験です。IPAは「午後I試験は国語の試験ではない」と主張しているものの、半分以上は読解能力を問う試験です。私の体感しては以下のような採点基準になっていると感じています。

私個人の意見ですが、実務でも仕様書が読めない技術者と一緒に仕事をするのは非常に辛いので、IPAが読解能力を求める方針は賛成できます。また、そもそも国語ができない受験者の論文を採点するのは非常に辛いと思うので、足切りの意味も込めて読解力を求める出題にしていると推測しています。

採点項目 採点比重
読解能力 50%
試験固有のノウハウを知っているか 25%
各専門分野の知識と実務経験 25%

このように午後Iは読解力が求められるのは当然として、各専門分野の知識と実務経験も求めらます。出題形式としては以下のようなものがあります。出題比率は受験科目によって若干異なります。

  • 文章の中から答えを引用する問題
  • 文章の説明を加工して解答する問題
  • 受験者の知識や経験に基づいて解答する問題
  • 計算問題

午後II

2時間で約3000字の手書き論文を書く試験です。「手書き」の論文の試験ですので、ある程度は字を書く事に慣れる必要があります。多くの受験者は日常生活として長時間連続で鉛筆を握る機会はないでしょう。論文を書く知識・文章術に加え、「手書きの練習」もしないと合格できない試験です。

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