NEC IXルータは、LANへのアクセスを提供するポートとWANへのアクセスを提供するポートで挙動が異なります。これはCiscoやJuniperなどのデータセンター向け機器では存在しない概念で、まずこの概念を理解しなければNEC IXの操作ができません。
この概念はNEC IXだけでなくYamaha RTXでも同様です。
説明の便宜のため「LANポート」「WANポート」と言う名称を使用します。この名称は公式に基づくものではなく、このサイトの独自表現である事に注意ください。LAN側とWAN側で仕様が異なりますが、この仕様の違いを表す適当な言葉はNECの公式マニュアルでは見当たりません。
ポートの構成
LANポートとWANポート
NEC IXはLANへのアクセスを提供するポートとWANへのアクセスを提供するポートがあります。これらポート数は型番によって異なり、上位グレードほど多くのポートを搭載しています。
例えば、IX 2106ならば、以下のようなポート配置です。GE0がWANへのアクセスを提供するポートで、GE1がLANへのアクセスを提供するポートです。LANへのアクセスを提供するポートは「SW-HUB」と書かれており、スイッチングハブ(L3SW)相当の機能を備えています。
IX 2215ならば、以下のようなポート配置です。GE0とGE1がWANへのアクセスを提供するポートで、GE2がLANへのアクセスを提供するポートです。LANへのアクセスを提供するポートは「SW-HUB」と書かれており、スイッチングハブ(L3SW)相当の機能を備えています。
ポートの命名規則
ポートベースVLANを使用しない場合(デフォルト設定)
Interface GigaEthernetX.Yと表記すると、X, Yはそれぞれ以下を表します。
記号 | 意味 |
---|---|
X | デバイス番号 |
Y | サブインターフェース番号 |
サブインターフェースYは特殊な要件がない限り0を指定します。GE0に対する設定をするならば、Interface GigaEthernet0.0のように指定します。
もし、タグVLANやPPPoEを使用する場合は、サブインターフェースYに0以外を指定します。例えばGE1に対してVLANインターフェースを作成したい場合は、Interface GigaEthernet1.1のように指定します。
ポートベースVLANを使用する場合
Interface GigaEthernetX:Y.Zと表記すると、X, Y, Zはそれぞれ以下を表します。
記号 | 意味 |
---|---|
X | デバイス番号 |
Y | vlan-group番号 |
Z | サブインターフェース番号 |
vlan-group番号はポートベースVLANの設定で、vlan groupとportの紐付けの設定です。紛らわしいですが、vlan-gropu番号はdot1qのタグ番号とは全く関係のない設定です。詳細な設定方法は、「NEC IX ポートVLAN設定」に記します。
ポートの操作
WANポートの操作
WANポートを操作するには、以下のようなコマンドを用いて操作します。interface GigaEthernetX.Yならば、Xがデバイス番号で、Yがサブインターフェース番号になります。
Router(config)# interface GigaEthernetX.Y Router(config-GigaEthernetX.Y)#
GE0と書かれたポートを指定したいならば、以下のようなコマンドになります。
Router(config)# interface GigaEthernet0.0 Router(config-GigaEthernet0.0)#
LANポートの操作
ポートVLANを使用しない場合(デフォルト設定)
ポートVLANを使用しない場合(デフォルト設定)は、以下のようなコマンドを用いて操作します。interface GigaEthernetX.Yならば、Xがデバイス番号で、Yがサブインターフェース番号になります。
Router(config)# interface GigaEthernetX.Y Router(config-GigaEthernetX.Y)#
GE2と書かれたデバイスを指定したいならば、以下のようなコマンドになります。
Router(config)# interface GigaEthernet2.0 Router(config-GigaEthernet2.0)#
LANポートに対するインターフェース設定は、デバイス2全てのポートに適用されます。例えば、IX2215の場合ならば、以下赤枠で囲まれた8つのポートが適用対象になります。
ポートVLANを使用する場合
LANポートは、他ネットワーク機器のL3SWに相当する機能を提供するポートです。ポートベースVLAN使用する場合は、まずは物理ポートとvlan groupの紐付けを行う必要があります。
Router(config)# device GigaEthernet2 Router(config-GigaEthernet2)# vlan-group <group_num> port <port_num> [ <port_num> ... ]
スイッチングポートを操作するには、以下のようなコマンドを用いて操作します。interface GigaEthernetX:Y.Zならば、Xがデバイス番号で、Yがvlan groupで、Zがサブインターフェース番号になります。
Router(config)# interface GigaEthernetX:Y.Z Router(config-GigaEthernetX:Y.Z)#
vlan group Xと紐付たポートのメインインターフェースに対する設定が行いたい場合は、以下のようなコマンドになります。
Router(config)# interface GigaEthernet2:X.0 Router(config-GigaEthernet2:X.0)#