vSANはIAサーバのディスクを使った高可用性を実現する技術です。ストレージに比べれば安価に実現できるものの、SSDを備えた物理サーバを3台以上用意しなければならず、安価と言えども個人で検証するのはハードルの高い技術です。このページではSSDを擬似的に作り、IAサーバ1台でvSANを検証する方法をまとめます。
- Nested ESXiの構築方法
- Nested ESXiに必要なセキュリティ緩和設定
- Nested ESXiの検証と併用しやすいvlan trunk設定と内部スイッチ
- vCenterのインストール方法(DNSあり)
- vCenterのインストール方法(DNSなし)
- vCenterのインストール方法(CLI手順)
- 標準仮想スイッチ(VSS)の冗長化設定
- 分散仮想スイッチ(VDS)の基本操作01
- 分散仮想スイッチ(VDS)の基本操作02
- 分散仮想スイッチ(VDS)の冗長化設定
- vMotionの設定手順
- NFSサーバの構築手順 (CentOS 8.2編)
- VMware HAの設定手順(NFSを使用する場合)
- TrueNAS インストール手順
- TrueNAS iSCSIによる共有手順
- VMware HAの設定手順(iSCSIを使用する場合)
- vSAN構築手順 (いまここ)
- VMware アフィニティルールの設定
- ESXiやvCenterのstatic route設定
- vSphere HAの可用性設定
- vSphere HAのアドミッションコントロールの設定
Nested ESXiの作成
ハードウェア構成
vSANは3台以上のESXiで構成されますので、Nested ESXiを3つ以上作成します。右クリックメニューの「新規仮想マシン」からNested ESXiを作成します。
vSANはキャッシュ層とキャパシティ層の2つのディスクが必要です。さらにOS用途として1つのディスクが消費される事を考えると、最低でも3つのディスクが必要になります。このページでは、以下スクリーンショットのように4つのディスクで構成される例を紹介します。
SSDの擬似
vSANのキャッシュ層として使用するディスクはSSDにしなければなりません。Nested ESXiでvSANを動作確認する場合は、SSDを擬似する手間が必要となります。
まず、SSDを擬似するディスクのscsiのノード番号を控えます。以下スクリーンショットの場合、「scsi0:1」です。
SSDを擬似する設定はGUIで投入する事はできず、仮想マシンの構成を表すvmxファイルを直接編集する必要があります。ESXiへsshログインし、viなどでvmxファイルを直接編集します。
「scsi0:1.virtualSSD = 1」のような設定を加筆します。など、scsiのノード番号は適宜変更ください。
編集後、仮想マシンを起動し、ESXiの管理画面にて「ストレージ」「デバイス」の順に押下します。ディスクをSSDとして認識している事を確認します。
vSANクラスタの構成
クラスタの作成
vSAN用のクラスタを作成します。データセンターの右クリックメニューを表示し、「新規クラスタ」を押下します。
「vSphere DRS」「vSphere HA」「vSAN」を有効にします。
VMkernel
メンテナンスモードを解除する前に、VMkernelを編集し、vSAN用途の通信が疎通可能になるようにします。
ESXiホストを選択し、「VMkernelアダプタ」「編集」の順に押下します。
「vMotion」「管理」「vSAN」を有効にします。
残りのESXiホストについても同様に「vSAN」を有効にします。
ディスク管理
「クラスタ」「設定」「ディスク管理」の順に画面遷移し、「未使用ディスクの要求」を押下します。
SSD 3本をキャッシュ層として設定します。要求対象列をプルダウンメニューで選び「キャッシュ層」としてください。
HDD 6本をキャパシティ層として設定します。要求対象列をプルダウンメニューで選び「キャパシティ層」としてください。以上の操作後、「作成」を押下します。
ディスクの作成後、「vSANでのディスクグループの作成」タスクが終わるまで待ちます。
メンテナンスモード解除
メンテナンスモードを解除します。
残り2台のESXiホストについてもメンテナンスモードを解除します。
メンテナンスモード解除後、vSANとしてのディスクを認識している事を確認します。
VMware HAの動作確認
vSANのディスク上に仮想マシンを作成し、それを起動します。
どのESXi上で仮想マシンが動作しているかを確認します。以下スクリーンショットの場合ならば、192.168.1.144上で仮想マシンが動作しています。
仮想マシンにpingを打ちながら、ESXiを再起動させます。しばらく経つと仮想マシンへのpingが途切れます。
さらにしばらく待つと、ping応答が復活します。
vCenterで状態を確認すると、仮想マシンが192.168.1.144から192.168.1.143へ移動した事が分かります。